Stap現象に見た深刻な社会現象

 

2014年1月29日に理化学研究所がStap現象にかかわるnature論文の成果発表をメディアを通じて行った。

あの年はソチ五輪が間近だったし、実は余り興味を持っていなかった。

しかし、この報道を見て日本には凄いリケジョが登場したことに驚いた。

明るい笑顔で不景気を吹っ飛ばしてくれそうだ。

その名も小保方晴子さん。

割烹着の姿で実験している超かわいい子娘がノーベル賞級の大発見をしたのは誇らしいウキウキすることだった。

と同時に日本はすごい国に成長したものだと思った。

 

暫くして、ソチ五輪が始まり、金メダル間違いなしと応援していた浅田真央ちゃんが涙の6位だった。

しかし、ショートで失敗してフリーでは完璧に滑り、大いに感動したのを覚えている。

 

そして、ソチ五輪が終わって間もなく、Stap 論文の不正問題がメディアで騒がれるようになった。

文章のコピペだの、画像の使い回しだの、画像の捏造だのとのことだった。

あの小保方さんのあの時の発表映像と共に、論文不正問題がどこの報道番組でも報じられていた。

小保方CDB研究ユニットリーダーの名前をどれほど散々に聞いたことか。

理研調査委員会までできて、常識では考えられないトンデモナイ不正をやったと大々的な話題となって、あの時の輝かしい発表は嘘だったと思うようになった。

すると、共著者の若山照彦山梨大教授が盛んに記者会見に登場し、あれよあれよという間に論文撤回への動きや博士論文不正騒ぎが話題になって行った。

 

7月27日にNHKスペシャル放送で「Stap細胞不正の深層」が放送された。

記憶は断片的だが、かなり辛辣な犯罪究明的なドキュメンタリーだった印象だ。

小保方研究ユニットリーダーと笹井芳樹副センター長の密接な関係を報じたり、研究ノートや論文の未熟さ杜撰さを強調し、不正の原因について学者や専門家の厳しい論評を流した。

そして、最大の印象として、若山教授や理研の遠藤高帆上級研究員らの取材を通しての意図的なES細胞混入よる捏造を小保方さんがやったとしか考えられないような、最早Stap現象を否定する決定的な捏造事件として報道がなされた。

 

その後間もなく、8月5日に笹井氏が自殺した。

小保方氏の検証実験が厳重な監視体制の下で行われ、12月19日に再現性否定報告があり、同21日に小保方氏は理研を退職した。

12月26日には「研究論文に関する調査委員会」(桂勲委員長)によって、何者かによって過失か意図的かどちらかによってES細胞混入が原因で論文データを裏付けているから、Stap現象は架空であって、Stap細胞があるとは言えないとの報道があった。

 

あの輝かしいノーベル賞も確実だと思われた論文発表で一躍有名になった小保方さんとその論文指導者の世界的科学者笹井氏の受けた反動の凄まじさは一体何だったのか?

日本の科学史上において、こんな悲惨で、何か吹っ切れないもやもやしたやりきれない事件をこれまで見たり聞いたり読んだことも無かった。

 

やはり、この事件はそれで終わりではなかったのだ。

あれから2年経て、小保方氏の「あの日」(講談社)が今年1月末に出版され、大反響を呼んだ。

大勢の日本人の関心の高さが改めて身に染みた。

 

暫く、この事件のことを考えてみたいと思う。