Stap事件 ― 若山氏がSTAP幹細胞株を捏造した可能性は?

桂調査委員会が示した結論、「誰が混入したかは特定できないが」、「STAP細胞ES細胞の混入である」とのことだった。

この結論を導くのに使われた試料は、若山氏が43株も作ったSTAP幹細胞である。

小保方氏の作って若山氏に渡したSTAP細胞(Oct4陽性スフェア)は増殖能力が無く死滅するので試料は残存しない。

したがって、小保方氏のSTAP細胞ではなく、若山氏のSTAP幹細胞株の遺伝子解析が行われて、それから導き出した結果であることをまず忘れてはならない。

 

2011年4月にポスドクとしてバカンティー研所属のまま、小保方氏が理研客員研究員として、当時理研PIの若山氏の協力下で、自己の発見した外部刺激による細胞初期化現象の基礎研究を継続したのだった。

しかし、若山氏は小保方氏の研究協力をするうちに、IPS細胞に対抗できる「幹細胞株化」の野望を抱いたことは小保方氏の「あの日」に克明に書かれている。

この「幹細胞株化」こそは実用上の必須条件であり、この実現によってこそ再生医療からの莫大な権益がもたらされるわけだから、これさえ成功すればこれほど研究開発者たる名誉も実利も同時にもたらされることは明白。

それ故に、若山氏は「幹細胞株化」は自分の仕事にしたのだ。小保方氏には「幹細胞株化」の原料(= Oct4陽性細胞)さえ作ってもらえば良かった。

この目論見はあっという間に達成した。2011年11月25日にはSTAP 幹細胞株GL1~8が若山氏の手によって樹立されている。

 

小保方氏は実は「幹細胞株化」不思議に思っていた様子を「あの日」に表現している。

「若山先生の行った幹細胞株樹立実験の再現を採るため、私はスフェアから若山先生がES細胞様に増殖させることに成功した特殊な培養液を用いて培養を試みていたが、たしかに若干は増えてはくるものの、増えてきた細胞の形状も増殖能もES細胞とは程遠いものだった。」

この理由は上記表現以前に登場する表現に象徴されるだろう。

若山氏がマイクロナイフでスフェアを切って小さくした細胞塊からキメラマウスを作るのに成功した後、残りの細胞をES細胞用培養液で培養して「幹細胞株化」にも成功したことが書かれていて、

「毎日、スフェア細胞を培養し観察していた私は、細胞が増える気配すら感じたことが無かったので驚いた。」とあり、

若山氏が「特殊な手技を使って作製しているから、僕がいなければなかなか再現がとれないよ。世界はなかなか追いついてこられないはず」と言ったと書いてある。

そして、若山氏は小保方氏にも一切の手の内を明かしてはいないのである。

「培養を見せてください、手伝わせてください」との小保方氏の要求を若山氏は断っている。

そのため、小保方氏はES細胞様に増殖した結果の幹細胞株しか見せてもらっていないことが明記されている。

要するに、「幹細胞株化」には小保方氏の関与はOct4陽性スフェア細胞の提供のみであり、小保方氏にとって「幹細胞株化」の手技は全くのブラックボックスだったのだ。

 

手の内が全て若山氏にあるこの新種の「幹細胞株化」を理研は見逃さなかった。

莫大な利権を獲得するであろう世界的新発明だと気が付いた。

この技術成果によって、沈滞化した理研の活性化と権益の確保が図れ、特定研究開発法人化にも結実できると踏んだに違いない。

そこで、まずは、若山氏に理研での特許戦略を急がせたことだろう。

そしてもう一つのポイントは、若山氏は山梨大学へ移籍が決定しているが、小保方氏はバカンティー研のポスドク研究員故に、理研で小保方氏を採用することは極めて重要な事だったことは想像に難くない。

 

想像するに、理研が特許戦略を恐らく早いうちから若山氏に働きかけていたし、PIの若山氏には小保方氏には無い、実用化への強い野望があり、特許戦略は重要である。当然、理研内部の特許担当や協力技術部門と若山氏が密な連携をしていたはずだ。

この特許戦略は特許を通すためには、かなり大胆な大風呂敷を広げて請求範囲を確保しておく必要がある。そして、従来技術上の問題点とその解決策として本願発明が明白に寄与することと、その特長を具体的な実施例を上げて、顕著な分かりやすいデータを示し、この発明によってもたらされる産業的価値の大きさに訴求しなければならない。

実際上、特許戦略には将来を見越したデータまでも予測して、データも大げさともいえる演出などもしているような公開広報はいくらでもある。当業者であれば、このことは暗黙の了解事項のようになっている分野も多いのではなかろうか。

普通に考えて、若山氏の手の内で、わずか数カ月で「幹細胞株化」が実現し、F1幹細胞をも作り、「光る胎盤」までもができてしまったのは驚くべきことで、不思議な事である。

その実態は、特許戦略を意図して無理やりにこじつけたデータ作成を行ったのではないだろうか。要するに、データ捏造作戦をやった可能性は無きにしもあらずだろう。

若山氏には、マウス管理を含めて、細胞の胚操作などの様々な技術要素を持っているわけだから、小保方氏からスフェアを貰えばその後はいろいろな操作が可能であると想像できる。

そして、特許戦略で準備したデータを論文にも使用させたのでないのだろうか。

だが、決して若山氏は小保方氏や笹井氏にはその手の内を明かすことは無かった。

 

したがって、論文不正問題が発生すると、「幹細胞株化」の捏造がばれるのを恐れて、逃避作戦に出たのではないかとも邪推する次第である。

いずれにしても、若山氏が全ての謎を知っているはずである。