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Stap事件 ― 理研スーパー法人化の荒波に呑み込まれた小保方氏

社会問題

 

 1. 理研スーパー法人化の代償  

2016年10月1日付で理化学研究所は悲願の特定国立研究開発法人(スーパー法人)となった。

本来は2015年4月発足予定だったが、STAP細胞問題に関係して、下村文科相が「国民からみても改革して研究不正や疑義の問題が解決したととれれば」との条件を示し、理化学研究所の改革を求めていた。

 

而して第9代理事長 野依良治氏から前京都大学総長の第10代松本紘氏に体制も変わり、理研はスーパー法人となったのだ。

(8省庁31国立研究開発法人の内、文科省所管の物質材料研究機構と理化学研究所及び経済産業省所管の産業技術総合研究所の3法人が特定国立研究開発法人に指定された。

 

2014年当時は独立行政法人、2015年4月に国立研究開発法人そして2016年10月1日にスーパー法人となっていく中で、当時の神戸研究所(兵庫県神戸市)の 発生・再生科学総合研究センターは、多細胞システム形成研究センターと改変された。但し、英語名はCenter for Developmental Biology(CDB)で変更は無い。当時のCDBセンター長の竹市 雅俊は高次構造形成研究チームリーダーとなり、センター長は濱田博司氏になっている。

 

Stap事件は、2014年に独立行政法人理化学研究所が起こした事件である。

当時の理研はその責任を取り、STAP論文は撤回させ、STAP特許出願人として米国との共同から撤退し、STAP:研究をES細胞による捏造研究として結論付けて、行政指導の下、研究不正を中心に運営理念や組織体制の改革を実行したことで終結している。

 

「科学における不正行為:日本における研究の整合性ガイドライン(Scientific misconduct: Research integrity guidelines in Japan)」Nature 514, 35 (02 October 2014) doi:10.1038/514035a Published online 01 October 2014 には次のように書かれている。(和訳:ryobu-123)

文部科学省が最近発表した研究整合性に対する日本の新ガイドラインの示すところでは、研究不正行為の抑制を希求するとしている。(参照: T. Tanimoto et al. Nature 512, 371; 2014).

従来は日本の制度では、科学者の不正行為の責任回避傾向があった。改訂されたガイドラインの下では、例えばデータ操作や捏造を行なった科学者に対して、研究機関は適切な措置を講じなければならない。不履行の場合、文部科学省は当該研究予算をカットすることになる。来年の理研の要求予算はすでに20%近く(121億円、111百万米ドル)を、文部科学省は減額している。これは今年2つのSTAP幹細胞論文発表し、その後撤回するという不手際に対するペナルティである。」(参照: Nature 511, 112; 2014)

 

文部科学省では当時、研究活動における不正行為の事案が後を絶たず、昨今、これらの不正行為が社会的に大きく取り上げられる事態となっていることを背景に、研究不正対応のより厳格なガイドラインを作成しつつある最中の事件だった事が分かる。(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/08/1351568.htm)

国家の研究機関としての面子にかけて、大々的にSTAP細胞の快挙をアッピールしたかと思ったら、とんでもない研究不正騒ぎとなり、急遽、突貫工事で体裁を整えざるを得ない深刻さがうかがわれる。

小保方氏は知らないうちに理研スーパー法人化の荒波に呑み込まれていたのである。 

大観すると(極めて大雑把という方が適当かも知れないが)、国家的な研究開発体制整備上のプロセスにおいて発生した重大な研究不正課題だったSTAP問題を軸に強い政治力で始末をつけ、形振り構わず体裁を整備していったと言えよう。

即ち、解決策は相当強引なもので、最も単純化された個人(小保方晴子氏)の仕組んだかのような、ES細胞によるSTAP細胞捏造という研究不正事件として決着させた。 

こうして、理研はスーパー法人の地位を獲得の責務を担い、小保方氏の論文指導者となったが、結果として理研の面子を潰し、世界的科学者の面目を失った笹井氏は精神的に追い込まれて自殺し、小保方氏は研究不正を首謀した張本人として断罪され、前代未聞の早稲田大学の理不尽な博士号剥奪までもされ、研究生命を奪われてしまった。

一方で、理研の大勢を上手く利用し、全ての研究不正の原因が小保方氏あるように仕組んだ若山氏だけは、皮肉にも誠に調子よく山梨大教授として活動中である。 

 

2. 組織の中の個人  

組織と個人の問題は、先ごろの電通社員の自殺事件等枚挙にいとまがない。法人組織は人間性の無い非情な魔物であると私は理解している。所詮、法人の組織活動における「人」は「物」や「金」と並列な経営資源の取捨選択される要素に過ぎない。

正にStap事件は理研という法人組織の御都合主義的に小保方氏という人材を抜擢し、研究ユニットリーダーに採用した。もともと彼女のポスドク時代、バカンティ研から理研に出張している客員研究員時代に、すでに初期的な多能性を持つスフェア細胞塊を発見していた小保方氏の研究を支援する傍らで若山氏はちゃっかりSTAP幹細胞を樹立した(かに思わせる研究活動を行った)。

その優れた万能性と実用性に目を付けた理研はスーパー法人化という権益拡大の目的に、あたかも理研の実力を示す研究成果として利用しようと企んだ。

恐らく、スーパー法人化権利を確保するために理研上層部のスケジュールに合わせた形で、STAP論文発表と特許出願の日程は組まれていたであろう。

そして笹井氏を参画させ、突貫工事で見事に目標を達成に至る。

しかしそのnature論文に疑義が発生すると、今度は小保方氏一人の研究業務上の不正問題に単純化し、刑事事件として拡大、長期化させずに終息させた。

トップダウン的に組織が一つの方向で動き出すと、その動きは組織内の違和感はあったとしても封じ込める力を持っている。

そこに科学コミュニティーやマスメディアのバックアップが加わると、最早個人では抗うことができない強大なパワーとなる。小保方氏は「戦うことができなかった」のである。

 

理研のこうした対応を皮肉った「【STAP細胞飯島勲内閣官房参与小保方晴子博士を擁護「調査委員会は現代の魔女狩り」というYouYube動画があった。

https://www.youtube.com/watch?v=0vc0LJl3bvM

花田紀凱氏が【花田紀凱の週刊誌ウォッチング】で「全く同感だ」と紹介していた。

「『文春』、飯島勲さんが「激辛インテリジェンス」でこう言っている。

「オレが理研の理事長だったら、いったん小保方論文にコミットした以上、(中略)組織を挙げてSTAP細胞の証明に邁進(まいしん)させるね。それを彼女だけ排除して一人の不正だ、懲戒処分だなんて冗談じゃない」

飯島氏はさすがだ。