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Stap事件 ― 佐藤貴彦著「STAP細胞 事件の真相」評

 

◎本書を読んで、事件の中心人物は若山氏だと改めて確認できた!

 

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先ごろ出版された佐藤貴彦著「STAP細胞 事件の真相」(星雲社)には、Stap事件が如何に虚構の産物だったかが理解できるような着眼点が整理され、解説されている。

下記のとおり十章に渡る目次内容で、事件の本質が分かりやすく構成されている。

我々がマスメディアを通して得たStap事件の常識が、どうやら間違った基礎の上に築かれていたという、そのいい加減なシナリオ作りの中心人物が若山氏であり、それをほぼ鵜呑みにして権威ある委員会が公式にまとめ上げた異様な事件の結論と施策が理解できるようになっている。

そして、でっちあげられた世相を迎合して、小保方氏の博士号を剥奪した早稲田大学の非情で浅はかな対応ぶりも語られている。

この事件の真相が確かに見えてきているのではないだろうか。

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= 目次 =

第一章 でっち上げられた窃盗容疑

第二章 悪意の証明

第三章 小保方氏の不正問題

第四章 過剰な期待

第五章 画策

第六章 自己点検検証委員会の欺瞞

第七章 改革委員会提言書の異常性

第八章 桂調査委員会報告書の矛盾

第九章 『あの日』について

第十章 小保方氏の博士論文

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佐藤氏の前作「STAP細胞 残された謎」(星雲社)は、小保方晴子著「あの日」(講談社)よりも前に出版されたにもかかわらず、マスメディアを通してSTAP細胞は小保方氏による捏造研究だったという、何かが吹っ切れないまま決着したかのような常識を考え直させるのに十分な問題点が整理されていた。

そこには、小保方晴子氏に対して、論文不正ばかりでなく研究捏造の主人公であるばかりでなく博士論文不正をも行った人物だと公的に結論付けされたポイントが科学的かつ論証的に考察され、その結論を鵜呑みにできない疑問点が提示されている。

結論として、科学的論証としてSTAP細胞ES細胞による捏造との判定には論理的に大いに疑問あるこの事件であったのに、当時は疑いもなく大々的に進行した異常性を以下の3つに整理している。

  1. 報道の過熱と事件当事者に対する社会的制裁の異常性 (笹井氏の自殺にまで発展)
  2. 論文不正の責任を小保方氏1人に負わせた異常性
  3. 小保方氏に対する執拗な追及の異常性 

そして、「この事件は、きわめて劇場的、魔女狩り的に進行し、ただひたすら小保方氏を叩くだけの報道ばかりが繰り返されてきた」一方的なバッシングに警告を与えた書であったといえる。

 

あれから1年後の今回の「STAP細胞 事件の真相」で注目すべき点は、この事件の中心人物は、小保方氏ではなく、理研や報道陣に積極的に情報を提供した共同研究者で上司だった若山氏であることが数々の不思議な独善的言動記録を示しながら解説されていることだ。

そこに、小保方氏や笹井氏他共著者と同じ論文不正事件調査対象者であるはずの若山氏が、事件の主因はあたかも小保方氏のSTAP細胞ES細胞だったとするストーリーを演出して拡散していったことが如実に言及されている。

さらに、若山氏に協力的な遠藤高帆氏等による検証不十分なSTAP細胞=ES細胞情報拡散、またそうした情報を都合よく脚色したNHK偏向報道(NHKスペシャル)による印象操作を明白にしている。

以上の内容は、本書の第二章~第五章に仔細に論説されている。

 

実は本書の第一章に、世間に決定打を突き付けたかに見えたあの石川智久氏の刑事告発は「でっちあげられた窃盗容疑」だったことを、著者が明確に示したことによって、上記の若山氏達の言動や報道内容が如何にいい加減なものだったかが鮮明に浮き彫りになった。

全く事実と無縁の虚構の情報を世間に広めたものだと言っても過言ではないだろう。

第一章は“STAP細胞は小保方氏が捏造したもの”という植え付けられた常識の論理的破綻を刻印した章である。

このことから、「STAP研究を主導したのは若山氏」であると著者は書いているが、小保方氏を悪者にしてSTAP研究の抹殺を主導したのも若山氏だったことが明確化するのだ。

 

そして、第六章から第八章にはこうした若山氏の自己中心的な言動とその協力者たちの偏向情報に迎合した世相作りが進む中で、正にそうした虚構のストーリーに当たり障りなく公式見解を整備し、事件を終息させていった三つの委員会の内容が整理されている。

各委員会のまとめた内容は、ほぼ若山氏らの流布した事件成立ストーリーを是とする立場に立って整備したがために、欺瞞や異常性や矛盾に満ちたものであるとの分析は当然の帰結として理解できる。

 

第九章では、以上の章で解説された若山氏の特異性が、「あの日」で小保方氏が告白した内容に照らしても明白であることを示している。

第十章「小保方氏の博士論文」においては、世相に迎合し、体面ばかりを気にして、博士号剥奪という主客転倒、責任転嫁の結論を下した早稲田大学の愚かさが良く判るようになっている。

 

本書を読んで、Stap事件の元凶は若山氏の異常ともいえる特異な言動にあることは、当らずとも遠からずと考えざるを得ない。

そして、彼の言動を利用することで、食物連鎖的な利権構造のメカニズムが作用して、見かけ上、問題は丸く収められたということが良く理解できる。

その犠牲になったのが、小保方氏であり、笹井氏であったということである。

 

若山氏は、理研の結論に異論を示さず、その後一切STAP細胞を語ることが無いのは、正に自身がでっあげた虚構のストーリー通りに決着したからに他ならないと私は考えていたが、本書によってその確信が増した。

未完成であったにもかかわらず、あたかも実証したかのように論文や特許に美しく表現させた、若山氏のオリジナリティーであるところの万能細胞(STAP幹細胞、FI幹細胞)の成果の先取りを画策した虚構シナリオの発覚を恐れて、小保方氏によるSTAP細胞=ES細胞による捏造という代替原因を作り上げて世論を欺くことに成功したとしか考えられない。

 

東京大学の研究不正も取り上げられて説明されていたが、研究開発戦略を真面に暴いていけば、若山氏のように責任逃れしたくなるような過酷なリスクを背負った研究者は山ほどいるのではないかと私は思うのである。

現代科学技術の過激な競争の中で、利権が絡む発明競争は実際はきれいごとばかりでは済まされない深刻さがあるのではなかろうか。

特に、特許戦略を制していくためには、脚色やむなしという局面もあるだろう。

密かにエア実験や虚構のデータの仮置きによってアイディアの先取りを担保することになる。

そこに正義のポピュリズムによって、虚構の世界が暴かれ、研究不正と評されるのは研究開発者にとっては致命傷になってしまうが、恐らくそのようなリスクを多少なりとも持って成果主義的な研究競争を行なっているのが実態ではなかろうか。

Stap事件は、現代社会のデリケートな問題の闇から発生した事件であったと思うのである。

 

 

本書によって、成果主義の最先端研究の代表的な研究者の1人である若山照彦氏がSTAP研究を主導しながら異常な研究終息を謀ったことが明白となった。

しかし、本書の内容においても語られていない、依然として謎の部分が残されたままになっていることを最後に述べたい。

それは、若山氏が発想して試作した“iPSに勝る万能細胞”を増殖性の無いSTAP細胞を無限増殖する幹細胞株化(STAP幹細胞、FI幹細胞)の実体である。

これまでの解析結果に従えば、従来の万能細胞のES細胞とTS細胞による開発ターゲット達成モデルだった可能性が高い。

若山氏は目標とするSTAP細胞の増殖力や多能性現象を設定して、研究戦略を考えていたに相違ない。

それは研究者なら当然行うであろう思考方法の範疇ではなかろうか。

しかし、小保方氏も不思議に思った、彼女が再現できない若山氏の作ったキメラマウスやSTAP細胞の増殖能力を作り出した、若山氏の「特殊な手技」の実体は本当にES細胞とTS細胞利用以外のアイディアがあっての事だったのだろうか。

恐らく、若山氏は科学的解決策を構想していたに違いない。

独自の発想であって未完成なる技術がゆえに、種を明かすことはしなかった。

 

それは、ひょっとしたら和モガ氏が想定した共培養法であった可能性も有り得えたかもしれない。

(詳しくは「「STAP細胞事件」-崩れていく捏造説の根拠(1)~(3)」を参照)

http://wamoga.blog.fc2.com/blog-entry-128.html

http://wamoga.blog.fc2.com/blog-entry-129.html

http://wamoga.blog.fc2.com/blog-entry-130.html

  1. STAP細胞+内部細胞塊」→(ACTH+LIFで培養?)→STAP幹細胞+ES細胞
  2. STAP細胞+栄養膜細胞(TS細胞)→(FGF4培養)→FI幹細胞+TS細胞」

 

論文に記載された方法とは異なってもSTAP細胞増殖技術を獲得しさえすれば論文データ以上に本物になる手はずだった。

しかしながら、STAP細胞を認めて、それを用いて増殖力を持たせるアイディアを実現させる具体的手法を確立には想定以上の困難さ抱えていたに違いないと思うのである。

論文の再現が急がれるのに見通しが立たない。

論文や特許には捏造したターゲットモデルのデータが残されている。

後に引けない厳しい立場に陥っていたに違いない。

そして、テラトーマ画像の取り違え発覚を機に、若山氏は保身の決断をしたのではないだろうか。

 

若山氏は黙して語らず。

若山氏が模索した研究戦略と研究内容がブラックボックスになったままになっている限り撤退の実相は謎のままである。